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天使ハボ3




たま‏@uratxx6月20日
ひとりになったロイはその場に踞った。何も気力が起こらない。目を開ける事さえ億劫だ。せめて頭の中を整理しようと思ったが直ぐにそれも放棄した。整理したところで彼は居ない。あの愛しい天使には二度と会えないのだ。貰ったハンカチは彼と同じ匂いがして涙が次々に溢れてきた。 #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月20日
ならば思い切り感傷に浸ってやろうとハンカチを握りしめたその時、再び来客を教える音が鳴り響いた。ブレダが言ってた別の者とやらがもう来たらしい。舌打ちをしながらハンカチをポケットにねじ込みロイはドアを開ける。うんざりと見上げたロイの前に、居る筈のない男が立っていた #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月22日
ロイは息を飲んだ。たった今堕天したと言われた彼が立っているのだ。すぐそこに、手を伸ばせば届く距離に。触れたい、抱き締めたい、その衝動を抑えたのは天使業界への疑念だ。天使の外見は人間の好みで選ばれるのか?それともクローン?まさか双子なんてオチはないだろうが… #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月23日
こういう時科学者は損だと思う。無駄に増やされた知識のお陰で色んな可能性を考えてしまうのだ、彼が彼じゃない可能性を。だからこうして躊躇してだな…そんな風にロイは出遅れた自分に言い訳をしていた。迷わずロイを抱き締めたハボックが本物であることは間違いなかったから #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月23日
「会いたかった…」絞り出すような声にロイも素直に頷いた。同じ気持ちだった事が嬉しかった。ハボックの胸に深く顔を埋め、腕を背中に回す。天使の証は無くなっていた「…堕天したと聞いた」一瞬身動いだハボックだったが納得したように呟く「やっぱり、そうだったんスね」 #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月23日
「まあ、そんな気はしてました」体は重いし飛べないしと、ハボックは苦笑する「人間だから仕方ないスね」「…人間?」驚いて見上げるロイにハボックは笑う「そうです。堕天とは天から堕ちる事。つまり地上に堕ちて、人間になるんです」ロイの顔がみるみる笑顔に変わった #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月23日
一度だけハボック抱き締められた事があった。ただ触れられているだけの感覚。姿形は人間でも無機物のよう、それが天使の印象だった。だけど今は違う。同じ体温を感じる。彼はこんなにも温かい。それに、「…汗臭い」「うわっ」ハボックは慌てて指摘したロイを自分から引き離した #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月23日
「マジで最悪…」自分の体をくんくんと嗅ぎながらハボックは項垂れる「堕とされた所が山ん中だったんスよ。羽根がねえから移動手段が足しかなくて…」やっぱり体は天使のが良かったとぼやくハボックをロイは可笑しそうに笑う「確かに不便な体だが、だからこそ楽しみがある」 #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月23日
「楽しみ?」「そう。例えば…そうだな、風呂に入ろう。隅々まで綺麗に洗ってやる。それから温かい食事を、腹が充たされるのは最高の至福だ。買い物も行くぞ。着替えが必要だからな。ラフな格好もきっと似合うだろう。疲れたらベッドで休めばいい。手を繋いで一緒に寝るんだ」 #一日一ハボロイ

たま‏@uratxx6月24日
どうかねと問われ、確かにどれも楽しみだとハボックは笑う「でも、一番の楽しみはこの前の続きなんスけど」「それは私も同感だ」再び距離を縮めたロイはシャツを引き寄せ唇を重ねる。目を開けても彼は消えない。この先ずっと、永遠に。おしまい! #一日一ハボロイ



拙い文章をカバーしてくれたえんじぇるズの絵は柳さんより頂いたものです。
しつこくおねだりして描いて貰いました。よくやった、私。

てな訳で天使ハボ完結です。お粗末さまでした!

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